以前、ブログに書いた記事を再掲載します。
採譜というのは、音楽を聴き取って譜面に直す作業です。これを耳コピーということに広げると、音源の制作、という仕事があります。今でしたら着メロや通信カラオケのデータ制作などがこれにあたります。
こ のカラオケですが、今のように通信カラオケやMIDIデータなどが存在する前は、レーザーディスクなどのメディアでカラオケの音源が作られていました。そ の当時はカラオケ制作はアレンジャーが譜面に起こし、それを使ってスタジオ・ミュージシャンが集まり、カラオケ・トラックを作っていたのです。原曲を録音 したときの演奏テープをそのまま使えば良いと思うかもしれませんが、カラオケ制作会社とレコード会社が違っているので、そのまま使うわけにはいきません。
もう30年以上も昔、私がまだ音楽修行中の頃は、録音スタジオではこのカラオケ・アレンジャーが大活躍してました。中には、カラオケ・アレンジで都内に家を建てた人もいました。そのような仕事をしていた人の中にあのジブリ映画で有名な久石譲さんもいらっしゃいました。それほど長い期間ではなかったかもしれませんが、アレンジャーのアルバイトとしては、カラオケ用の採譜は結構良い仕事だった時代もあったのです。
現在はどうでしょうか?カラオケ用のデータなどは、圧倒的に需要が多いはずなのですが、とても良い仕事、というわけではないようです。下請けから孫請けま で、恐ろしく低予算で作っているところの話を良く聞きます。ミュージシャンの卵たちにとっては勉強もかねて、賃金には目をつぶって引き受ける人も多いと思 いますが、もう少しなんとかすべきだと思います。
採譜という作業は、いわば「アート」の分野であることをもう少し解ってもらいたいです。誰がやっても同じになることは決してないのです。何が求められるのか、何を求めるべきなのか、音楽を仕事としている人たちは、常に正当に扱われて欲しいですね。